あの日の約束を、君ともう一度
女子の優勝チームにいる同い年のやつ。
素早いドリブルで相手を抜き、綺麗なフォームでシュートを打つ。
そんな染谷の手から放たれたボールは、綺麗な弧を描いてリングに吸い込まれていった。
二点差で負けていたそのチームは、染谷のスリーポイントシュートで逆転勝利した。
誰もが諦めた勝利を、染谷は掴んだ。
来年もまたここで会おう。
約束の印として、リストバンドを交換した。
絶対に来年も会えると思っていた。
絶対に来年も優勝すると思っていた。
予想通り、その学校は決勝に上ってきた。
そして優勝した。
でもその中に染谷の姿はなかった。
メンバーだけじゃない。
応援の方にも、居なかった。
約束したのに。
裏切られた気分だった。
なにも知らない俺は、たったその1度の事で、染谷が悪者に見えた。
何も知らない俺の中の染谷は、嘘つきで平気で約束を破る、そんな最低な人間になった。
染谷の事情なんてなにも知らなかったのに。