あの日の約束を、君ともう一度
「けど、出来なくなった!片手じゃバスケは出来ないんだもん。仕方ないよね。」
ははっと乾いた笑いがこぼれた。
「さや.......」
莉花の瞳に涙が滲む。
「あんなに好きだったのに、見てるのも辛くなって。全部捨てた。...けどこれだけは捨てられなかった。」
1度はゴミ袋に入れた。
けど、捨てられなかった。
それくらい、これは大切だった。
「“頑張れ、待ってるよ、沙耶佳なら出来るよ”って何度も何度も、いろんな人に言われた。けど無理だった。どんなに頑張っても動かなかった。」
毎日毎日、看護師さんや医師に止められるまでリハビリをした。
それでも左腕は全然動かなかった。
「“頑張れ”っていつまで?どこまで?私はどれ位頑張ればいいの?」
ずっと、思ってた。
私はいつまで頑張ればいいんだろうって。
もう頑張ってるよって。
けど、誰も“もう頑張らなくていい”って言ってくれなかった。
それが辛かった。
バスケが出来ないことよりも、辛かった。