霊感彼氏。


「なに」

神代君が煩わしそうに男の子へと視線を落とした。

男の子はにやにやと笑いながらあたしを指差して言った。


「ハル、こいつ面白いよ」

「うん」



え? と思いながらその様子を見る。

よく見ればその男の子は昨日みたいに血みどろじゃなくて、一般的な少年の格好をしていた。


しかもなんか普通にコミュニケーションとってるんだけど、ハルって神代君の愛称?

もしかして仲良し!?


ていうかこいつってあたしのこと?

神代君、「うん」ってどういうこと?


あたしって面白いですか……!?



「あんた、何か考えてることずれてない?」


男の子がくすくすと笑ってあたしを見た。

なんかもう全然怖くはないんだけど……って、ちょっと!


「いいい今心読んだ!?」

「俺ユーレイだからそんくらい余裕だもーん」

「はぁ!?」


幽霊は人の心が読めるんですか!


「美加。さっきから声出てる」


本気で信じて目を丸くするあたしに、神代君が淡々とそう言う。

ああ、そうなんだ……って。


「うそ、声に出してた!?」

「うん」



男の子がけらけらと笑った。

くそぅ、憎たらしいガキめ……っ。


ていうか何で今は血だらけじゃないのに、昨日とさっきはあんなひどい格好だったの?


なんかもう色々と意味がわからない。



「神代君っ!」

「春也」

「は、春也!いろいろ説明してほしいんだけど!」


神代君はめんどくさそうに頷いた。

ちょ、ちょっと……!

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