霊感彼氏。
まあ、幽霊なんだしそんなもんかと納得。
っていうかレイのことはこの際どうでもよくて!
せっかくの初デートなのに、あんまり恋人的なことできてないかもしれない。
いや、恋人つなぎとかしたけど、あのときは約一名(?)邪魔者がいたし。
さっきのいい雰囲気も結局ぶち壊されたし。
……なんか邪魔入ってばっかりだな、あたしたち。
「ね、美加」
考え込むあたしの頭上から、神代君が名前を呼ぶ。
はっとして顔を上げると、ゆるゆるスマイルで神代君が笑っている。
だけど、違和感。
何だかいつもより口の端が上がってるというか、なんか怪しげっていうか。
なんて考えているうちに、神代君の手があたしの顎に添えられる。
え?
と思う間に小さく動く彼の唇。
「続き。さっきの」
その意味をあたしが理解するより早く、彼の唇があたしの唇に重ねられた。
初めて触れたその唇は、柔くて、どこか甘かった。
なんて。
コメントできるほどの余裕があたしにあるはずもなく。
真っ赤の最上級を越えたくらいに染まる頬の熱さに身を任せ、あたしは意識を手放した。
「……美加?美加っ」
慌てたような神代君の声が、いつまでも耳に残っていた。
……恋愛初心者、キスに倒れる。