霊感彼氏。
――じゃあまた学校で。
そう言って、あたしと神代君は一度別れた。
あたしのせいで神代君が学校に遅れることになっちゃって、なんか申し訳ない。
あとからちゃんと謝らないと……と思いながら学校方面への電車に乗り込む。
通勤通学の人々で満員の電車。
なんとか立つスペースを確保し、ほっと一息ついたとき。
窓の外に見たくもないものが佇んでいた。
血まみれの男が、目を見開いてこっちを見ている。
目が合ったと思えば、ソレはにやりと口元を歪めた。
ひいっ!
あたしは声にならない叫びをあげた。
こ、この駅もしかして過去に事故とかあったりした……?
やっぱ怖いもんは怖いね、うん。
急激に激しく脈打つ心臓を静めながら、あたしは動き出す電車に揺られた。
「で、どうだったのよ」
「………」
学校につくなり、あたしは質問攻めにあった。
無断であたしの個人情報を漏らした薄情な友人のマキによって。
「ねえ、どうだったの!? キスはした? もしかしてその先も!? やだもういやらしいーっ!!!」
「やらしいのはマキの脳内だよ。ていうか一言ことわってからそういうことしてよね」
「そういうことって?」
「住所教えたりさ!」
「だってびっくりさせたかったんだもんーっ」
てへ☆
と可愛らしく笑うマキに、何だか力が抜けて怒る気が失せた。
ていうか、キス以上って!
いや、なんか雰囲気的にはおかしくなったりもしたけど、そんなことは……。
「あれぇ? 美加何か顔赤くなーい?」
「う、うるさいっ!」
わざとらしくにやにや笑うマキに、あたしは顔をしかめて見せた。
今朝のことをマキに話そうものなら、どんなことを言われるかわかったもんじゃない。
口は災いの元、っていうしね。