霊感彼氏。
意を決してリビングに向かう。
怖いけど、正直ものすごく怖いけど!
このまま自分の家を好きにされてたまるもんですか!
あたしは見えない敵に立ち向かうような意気込みで、恐る恐る足を進めた。
部屋の電気をつけた途端、それまで動いていたすべてのものがピタッと止まり、その場に静かに落ちた。
あたしは肩の力を抜いてひと息ついた。
とりあえず、おさまってはくれたみたい……。
だけど、ほっとしたのもつかの間だった。
がしっ!
あたしは足を何かに掴まれた感覚に、びくっとして咄嗟に視線を下に向けた。
『……お姉ちゃん、僕と遊ぼう……』
ひどく掠れた小さな声。
全身血だらけの男の子が、フローリングの床に這いつくばりながら目を見開いてあたしを見上げていた。
「ぎ、ぎゃあぁあぁぁぁぁぁああぁああ!!!!!」
あたしの悲鳴が木霊した。
いくら防音壁のマンションだとは言っても、隣の隣の隣の隣くらいには聞こえたはず。
そして、あまりの出来事に脳みその回転が追いつかなくなったあたし。
そのままぷつりと意識を途切れさせてしまった。