霊感彼氏。
彼があたしをつれてきたのは、昨日と同じ中庭だった。
ここお気に入りの場所なのかな。
ていうか授業……、もういいか。
「神代君、話ってなに?」
あたしが切り出すと、彼はむっと顔をしかめた。
な、何でございましょう。
「春也」
彼がぽつりと呟いた。
「へ?」
「下の名前」
「う、うん……」
何が言いたいんだろう。
神代君の下の名前は、春也で……。
「呼んで」
「……はっ!?」
まさかの事態。
あたしに、呼び捨てにしろって!?
恋愛経験値ゼロなあたしにはそれすらかなりハードル高いんですけれども!
「呼んで」
「ぇえええっ…」
「美加」
じっと見つめてくる彼の瞳に、あたしの心拍数はうなぎのぼり。
星が、きらきらが……!
きれいすぎる彼の瞳に負けて、あたしは俯きながら口にする。
「は、春也……っ」