霊感彼氏。
たったそれだけなのに、顔から火が出そうだった。
こみあげる羞恥心がハンパない。
ああもう、何この恥ずかしさ。
こんなに緊張して人の名前なんか呼んだの初めて。
何も言わない神代君をちらりと覗き見ると、にっこりと笑っていた。
す、すごい嬉しそう。
あたしが頬を染めていると、神代君の手があたしの頭に乗せられた。
くしゃくしゃとあたしの髪を乱しながら、頭を撫でてくる彼の意外に大きな手。
何かこれって結構バカップル的な……!
また恥ずかしくなったあたしは、再び俯いて口を開いた。
「は、話って」
「ん?」
「話、あるってさっき……」
あぁ、と彼は頷いた。
あたしはその隙にぐちゃぐちゃになった髪を手ぐしで整えた。
赤い顔は隠しようがないから、もう開き直ってしまおう。
話って、何だろう。
そう思いながら彼が話し出すのを待ってみるけど、一向に話し出さない。
不思議になって彼を見ると、彼はあたしの後ろをじっと見据えていた。
その表情は今までに見たことないほど真剣で、あたしの胸はどきんと高鳴る。
なんかいきなりかっこいいなぁ!
でも急にどうしたんだろう。
「美加」
彼の視線があたしに向く。
あたしはそれを見つめ返した。
ゆっくりと、目の前の形の良い唇が動いた。
「俺、みえるんだ」
そう言って彼は、さっきまで見つめていたあたしの背後を指差した。