霊感彼氏。
俺、みえるんだ。
あたしは彼の言葉を頭の中で繰り返してみた。
見える?
って一体何が……?
「え?」
そう言いながらあたしは彼の指差す方向を見るべく後ろを振り返った。
……その瞬間。
「うぎっ」
思わず叫びそうになったあたしの口を、神代君がさっと手で塞いだ。
だけどあたしは目をがっつり見開いたまま動けなかった。
そこにいたのは、昨日の男の子だった。
あの血だらけで、あたしの足首をがっしり掴んでいた子。
ていうか絶対人間じゃない!
ってことは、この子は……。
そんでもって神代君が見えるものって……!
あたしは全てを悟ってしまった的な感覚に襲われながら、口元の神代君の手をそっとはがした。
「ゆ、幽霊ぃ……?」
あたしが震える声で呟いた瞬間、男の子はにっと口をつり上げて笑い、彼は頷いた。
う、嘘でしょ!?
あたしは昨日のことを思い出していた。
あの超常現象。
あんなものを目の当たりにしたら、信じる他ない。
だけど、今までそういうものとは無縁に生きてきたあたしは、この状況の受け入れ方がわからない。
ああもうどうすればいいの!
しかも何でいきなりあたしがこんな心霊体験するようになったの!?
「なあなあ」
男の子が神代君の制服の裾を数回引っ張った。