だから、君が嫌いだ【短編】
「お前、どんだけフリーダムなんだよ…⁉︎」


「うるはい」


フリーダム時雨は、すでに麻婆豆腐を口に含んでいた。


それでも無表情。


辛いとも美味いともうんともすんとも言わず、黙々と食べ続けている。


ありえない………‼︎


なんだよ、嫌がらせか。


私が辛いの苦手って知っててそれ持ってきてんだから、嫌がらせだろ。


それともあれか、さっさと帰れっていう遠回しな意思表示か。


あ、でも私に興味ないから苦手だとか忘れてるか。


なんだよ、ほんとに。


時雨の考えていること、なにひとつわかんないよ。


「なんなんだよ、お前!
私より麻婆豆腐が好きか⁉」


もう訳がわからない。


なんで私はこんなに怒ってるんだよ。


知ってるだろ、そんな事。


時雨の中で、私の存在が麻婆豆腐や哲学的思考のなんちゃらかんちゃらよりもずっと下の地下2階あたりにあることくらい、最初からわかってるだろ。


だからいま、私が泣いてたってこっちを見ようともしないのも当然だろ。


だって、ぜんぶ、私の独りよがりなんだから。
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