私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
大樹が焦って立ち上がってウロウロしている。




私は大樹のTシャツの裾をぎゅっと掴んだ。




「・・・・志帆?」




ごめん。




大樹。




ごめん。




恋。





「大樹のことが、ずっと好き。」




「・・・・・・・・・・・・・え?」




あぁ、




言ってしまった。




ずっと言えなかった言葉。




今、



全部話しちゃおうか?




この際、




少しぐらい、困らせていいかな?




「・・・・・・・ずっと、大樹のことが好き。でも、・・・・・・大樹が恋のことが好きって言ったから、言えなかった。ごめん。ごめんね。大樹。・・・・・・・恋と付き合ってからもずっと、大樹のことが好きだよ。」




涙を堪えて全部話した。



戸惑っている大樹に、私は言葉を続けた。




「・・・・・・・大樹。・・・・・・ここにいて。・・・・・・・行かないで。」



これが最後だから、




最後にするから、



だから、



ちょっとだけ、



夢を見させてください。



大樹は、私を見て固まったまま動かない。



ようやく状況が分かったのか、大樹が私の方に向き直った。



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