私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
何秒か、沈黙が続いた後、弘人が口を開いた。



「怒鳴ってごめん。・・・・・それと、もうあの返事はしなくていいから。・・・・・困らせてごめん。・・・・・・・今日は俺帰るわ。」



そう言って歩き出す弘人。



呼び止めようと思っても、呼び止めたところでなんて言ったらいいか分からない。



バタンッと扉の音がして、弘人がどこか遠くに行ってしまうようなそんな気がした。



肩には弘人のシャツ。



私はそれを肩から取って、綺麗に畳んだ。



ぎゅっとシャツを握りしめると、シャツにポツンポツンと点が出来る。



涙が溺れ落ちて、シャツの色が変わっていく。



「違うっ。・・・・・・違うんだよ。弘人っ。言いたかったのは、それじゃない。」



嗚咽を零しながら1人でつぶやく。



「・・・・・私はっ、・・・・・弘人が、好きって言いたかったんだよっ。・・・・・・ずっと、ずっと、気づかなくてっごめんっ。やっと気づいた。・・・・・弘人のことが好きって。今日は、・・・・あの時言ってくれた告白に返事をしたかったっ。ぅう、でもっ、もう遅かったのかな?・・・・・遅すぎたっ。」



弘人に言えなかった言葉が次々に溢れ出す。


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