私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
諦めようとしてるのに、言葉を選びながら話す志帆が愛おしいと思った。



でも、俺の中で、もう志帆は俺に振り向く可能性はないんだという現実を突きつける。



諦めろ。




諦めなきゃ。



そんな気持ちがずっと胸の中に広がる。



志帆は俺の気持ちなんか知らずに淡々と話す。



こんなに真っ直ぐ俺を見て話しているのに、俺のことなんか見えてないんだもんな。



「・・・・それでね、ここからが本題なんだけど、私ね、実は、・・・「分かってるよ。」



直感的にそう答えていた。



だって、その次の言葉は、・・・・・大樹君に告白したんだ。



でしょ?



分かっているけど、真正面からそんな言葉聞きたくない。



俺が弱いだけだ。



でも、聞きたくない。



俺は戸惑う志帆の言葉を聞かないようにズラズラと言葉を並べる。




志帆は何がなんだか分かってないみたいだった。



心なしか、志帆の表情が暗く見える。



どうして?



大樹君と恋ちゃんと上手くいったんじゃないの?



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