私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
本当は話したかった。



でも、



これでいいんだ。



って、自分に言い聞かせた。



そして、



さっきの言葉。



泣きながら、震えながら俺に話してくれた言葉。



絶対有り得ないって思ってた言葉を真っ直ぐぶつけてきた志帆。



嬉しいはずなのに、俺は何も言えなかった。



自分の中でも混乱して、言葉が出せなかった。



そして走って行ってしまった志帆を追いかけることもなく、今もその場に立ち尽くす。



体育館の明かりも消えて、入口から一人の女の子が出てきた。



多分、恋ちゃん。



「あれ?弘人君?・・・・・・・・・・・志帆は?」



そう言われて俺はやっと言葉が出てきた。



「帰ったよ。」



「えっ!?嘘!?・・・・・・・志帆、なんか言わなかった?」



それは、さっきの事だろうか。



「・・・・・・・好きって、言われた。」



「・・・・・志帆、言えたんだ!!良かったーー!!それで、それで、弘人君はなんて言ったの?」



「・・・・・・・何も言えなかった。」




そう言うと、恋ちゃんの顔が一瞬強ばった。




「・・・・・・なんで、何も言わなかったの?どうして、追いかけなかったの!?」




怒鳴りながら肩を掴まれる。



「・・・・・混乱して、なんも言えなかった。」



「・・・・・・・嘘。そんなの嘘だよ!!本当は、今だって、志帆のこと好きなんでしょ!?何を我慢してるの?なんで素直にならないの!?」



涙を流しながら怒鳴りまくる恋ちゃん。



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