私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
久しぶりに来たけど、やっぱりこの空気感って落ち着く。



水槽の明かりだけが幻想的に光っている。



「「きれーーー。」」



ふたりの声がハモる。



「ハモったね。」



「だな。・・・・俺さ、ここのワニ嫌いなんだよな。」



「え?なんで?怖いの?」



「怖くねーし!!ただ、ちっちゃい時にワニ見てたら迷子になって置いてかれた思い出がある。」



弘人が、迷子って。



以外すぎる。



「弘人にもおっちょこちょいなところあるんだね。・・・・・仕方ないから、ちゃんと手ぇ握っててあげる。」



そう言って、繋いでいた手を恋人繋ぎに変えた。



私は顔が赤いのを見られたくなくて、ずっと水槽を見つめる。



そして、ぎゅっと強く握られた。



少しだけ弘人の方を見ると、顔を赤くして照れてるみたいだった。



私だけが恥ずかしいんじゃないんだって、嬉しかった。






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