私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?

知らない間に、志帆が大樹君を追っているのを見るのが嫌だったのかも。



でも、変な意地があって、大樹君にはヤキモチ妬いてるなんて絶対バレたくないから、



「いや、そんなことないよ。ってか、人のこと言ってる暇ないでしょ?恋ちゃん寝そうだけど。」



「あっ!マジかよ!?」



そう言って恋ちゃんのそばに行く大樹君。




ぎりぎり気に抜けたかな。




ふと、志帆の顔を見ると優しく微笑んでいた。




もうそういうのに慣れたのかな?




話しかけようとすると、・・・・志帆がスカートを握りしめているのが見えた。



あぁ。




そっか。




志帆はずっとこうやって耐えてきたんだ。




明らかに自分の気持ちを隠そうとしているのは俺にも伝わってくる。




それはきっとふたりを困らせないためとかっていう理由なんだろうけど。




でも・・・・・・・





それは俺も同じだ。




大樹君のことを好きな志帆に俺は恋をしたわけで、志帆と状況は同じ。



好きな人に、好きな人がいる。



< 53 / 176 >

この作品をシェア

pagetop