私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
楽しみたい。



けど、心のどこかで大樹のことが気になってしまう。



私のことを見つけたら、恋を置いて追いかけてくれるかな。



もしかして、花火見てる時隣が大樹だったりしないかな?



大樹とすれ違って、浴衣可愛いって言ってくれるかな?



そんなありもしない想像を未だにしてしまう。




それだけでもちょっと心がキュンとなるんだ。




「よし。できた!」




「うゎー!ありがとう、お母さん!」




「お礼はりんご飴でいいわよ。後、お父さんに焼きそば買ってきて。」




「分かったよ。ありがとう!」




お使いを頼まれたのはちょっと納得いかないけど、まぁ今日は大目に見てあげよう。




ブーブー、ブーブー




机の上に置いてたスマホからアラームが鳴る。




遅れないように前もってかけていたんだ。




よし、時間まで後20分。




今から行けば丁度かな?




私は下駄をはいて家を出た。




お祭りの会場は私の家から歩いて10分くらい。




自転車に乗れないから私は歩いてそこに向かう。




会場に近づくにつれて人も多くなってきた。




周りの浴衣を着た女の子が可愛く見えて、自分に自信がなくなってくる。




カップルで歩く人。




私は羨ましくて仕方がない。




大好きな人と見る花火って、楽しいんだろうな。



って、それは弘人に失礼過ぎる!!

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