私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
そんなの嘘でしょ?




うん。




そうだよ。




嘘だよ。




やっぱり弘人には分かってしまうんだね。




私は深呼吸して弘人の方を向いた。




「聞いて、くれる?」




「うん。・・・・・話して。」




そう言って手を握ってくれる。




でもそれは嫌じゃなくて心がちょっと落ち着いた。




「・・・・・・・・私、ずっとずっと、大樹が好きだった。今も、・・・・好き。」




「・・・・・・・・・うん。」




「分かってたんだよ。大樹がいつか、恋に告白して、2人は付き合うこと。恋の気持ちは分からないけど、・・・・・・・・告白されたら付き合うってなんとなくわかってた。でもね、・・・・・・分かってたはずなのにっ。今の見たら、・・・・・もぅ、悲しくて、悔しくてっ。・・・・・・見たくなかったっ!見たくなかったよぅ。キスしてる所なんて、見たくなかっ!!」




瞬間、何が起こったのか分からなかった。




でも、私は弘人に抱きしめられていて。




目からは熱い涙が流れていた。




弘人が私の背中をぽん、ぽん、と叩いてくれる。


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