私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?

ずるさ 弘人side

俺はずるい。




1人歩く帰り道、さっきまでの出来事を振り返った。




大樹君が恋ちゃんと付き合ったっていうその日に、志帆に告白したんだから。



弱ってるのを利用した。




本当に最低だ。




絶対言わないって決めたのに。




言ったら困らせるって分かってたはずなのに。




腕の中で泣き崩れる志帆は今までで一番小さく見えた。




肩を震わせる志帆を助けたいって思った気持ちは嘘じゃない。



でも、あの場で告白したのは最低だ。




余計混乱させただけ。




俺はだんだん自分に腹が立ってその場を立った。




「あれ?弘人?ここで何してんの?」




そこには恋ちゃんと手を繋いでいる大樹君の姿。




「あれー?志帆はー?」




「・・・・ちょっと色々あって。」




「あー!もしかして告白失敗したとか?お前志帆のこと好きだったろ?」




笑いながら話す大樹君に腹が立った。




お前が、そうさせているんだろ?




笑ってるんじゃねーよ。




そう言いたかった。





「そっかー。志帆違かったのかなー?弘人君のこと好きだと思ったんだけど。」



恋ちゃんまでそんなことを言い出す。



この2人って、志帆のこと、どこまで知ってんの?





本当にこの状況で、親友って言えるの?




俺は我慢の限界で拳を握りしめる。



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