紳士的?その言葉、似合いません!



「とにもかくにもあなたの元彼氏に長谷川さんはもったいないと思っていましたから。他にも理由はありますが」


「だから別れてよかったですね、ですか?」



一応都築さんなりの理由があったらしくそれはあいつにわたしはもったいないという言ってみればわたしのためでもあるんだろうけどそれでもやさぐれた気持ちになってしまう。


だってあんな最低阿呆でついで馬鹿なあいつだったけどわたしはそんな元彼が好きだった。ちゃんと好きだったんだ。


ちょっと頼りなかったけど甘えられるのは嬉しかったし、わたしにはない素直で明るいところに惹かれた。一緒にいたら楽しくて、怒ったり呆れたりしながらも笑顔になれた。


ちゃんと好きだった。これから一緒にいるんだろうなって漠然と考えられるぐらいには彼との将来も見えていた。


今頃になって彼との4年間が終わってしまったのだと実感して鼻にツンとしたものがくる。泣きそうな自分がいることが悔しくて涙を見せることは自分が弱いことの証明になりそうで嫌だった。


こんなときでも主張してくるプライドに感謝しながら唇を噛んで痛みで涙を誤魔化す。せめて泣くにしても涙を見せるにしても人には見られたくなかった。特に上司の前なんてもってのほかだ。





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