紳士的?その言葉、似合いません!
このままだと感情が制御できなくなるのも時間の問題だろうとお酒を一気に飲み干す。作ってくれたバーテンさん申し訳ない、最後は味なんて不明だったけどおいしかったです。
そのまま最後まで笑顔で都築さんにさようならをしようとしたのにそれを止めたのはあろうことか都築さん本人であった。いや、なぜ。
テーブルに置いたわたしの手の上にかぶせるように都築さんの意外に大きな手のひらが乗る。あっけにとられているとニッコリと微笑んだ都築さんが近づいてきて唇が重なった。
わたしは悪くない。たとえ相手が本物の王子もかくやという美麗な人だといえどももはや目の前のこれはただの変態である。
反射的に重なった手のひらとは逆の手で目の前にいる人に制裁を下してやろうと(つまりはぶっ叩こうと)するもののその手も受け止められてしまう。
それだけならまだしも体ごと乗り出されてさらに口づけが深くなり驚いた隙間からあたたかなものまで侵入してきた。口が利けた状態なら間違いなく叫んでいただろう。
「…、ふっ…っ、…」
どうにか逃れようともがいてもなんでだと言いたくなるぐらいに唇は解放されない。しかも今までに経験したことがないぐらい巧みでともすると流されてしまいそうになる。
そんなぐらぐら理性を刺激する快感にどうにかこうにかプライドをかき集めて目の前の紳士の皮を被った変態を睨み付けると色素の薄い茶色の瞳と印象的な青みがかった瞳がわたしを映して楽しそうに笑った。