紳士的?その言葉、似合いません!
そこまで言われて別れないなんて言ったらわたしの方が悪者である。おかしい、悪いのは全面的にこいつなのに。納得できるわけがない。
内心ふつふつと容認できない感情が湧き上がるとのの今ここで、こいつの目の前でそれを爆発させてみっともなく喚くのは嫌だ。そっちのが容認できない。
というわけでこの感情には無理やり蓋をして「わかった。別れましょう」と言ってやった。これ以上ないってぐらいの笑顔をプラスして見せてやった。
最後までこいつよりも年上の大人として振る舞って従順に別れを受け入れたはずなのに最後に言われたのは「やっぱり、俺のことそんなに好きじゃなかったんだな」という言葉。
「あいつはお前と違っていつでも好きだって伝えてくれるし俺に甘えてくれるし。お前は付き合ってたときも甘えてくれなかったし仕事で忙しいときも会いたいなんて言ってくれなかったもんな」
残念なものを見るような目で見られて湧き上がる激しい感情。
好きだって伝えて面倒そうな顔したのはそっちでしょ。甘える前に甘えてきて甘えることを許さなかったのはそっちでしょ。会いたくても忙いって電話を切ったのはそっちでしょ。
いつだって、そんなわたしを言外に抑えてきたのはそっちでしょ。