紳士的?その言葉、似合いません!
まぁだからと言って今回のことを許すかは別問題ですけどねっ!!
イラっとしたので少しペンを持つ手に力が入ってしまい心なしかミシ、と音がしたような気がするけど気にしない。気のせいったら気のせいだ。
チラチラと時計を気にしながらも仕事を終わらせると先輩から飲みのお誘いを受けるが断る。本音は飲みたいけど流石に…ね、憚られるし。
「そっかー、久々にいろいろ語りたかったんだけど残念ねぇ」
「すみません、また今度誘ってください」
「はいはい。あ、そういえばあんた今日婚約者は?」
あはは、と乾いた笑いをこぼしながらもはやこれを訂正するのも面倒なので「さぁ?」と返す。
まぁ本気でわたしを都築さんの婚約者だと思っている人にはちゃんとしっかりそれはもう懇切丁寧に訂正するけど先輩のこれはただのからかいだ。付き合ってムキになるだけ忍耐力の無駄である。
都築さんのことだ、時間があれば何かしらの連絡もしくは強制的な予定を入れられるけど今日はそんなことはない。というかここでも見てないし。
どうやら他社との打ち合わせが昼過ぎにあり、そのまま…というパターンらしい。だからやっぱり今日はもう都築さんとは会わないだろう。できれば知りたくなかった現実を今日偶然でも知ってしまったのでこれはありがたい。