紳士的?その言葉、似合いません!
話している間、気づくと無意識のうちにお腹を撫でていたりするのだから本能ってすごい。こんなわたしでも母性って湧くのかと感動すらした。
まぁ子どもは好きだし、自分もいつかは愛する人と結婚して子どもも作ったりするんだろうなぁと漠然と思ってはいたけど。でもこんな形になるとは考えもしてなかったよね。
「それで酒好きのあんたが烏龍茶?へぇ」
言外にあんたでも母親の自覚持てるんだと言われている気がする。くしくもわたしとおんなじこと考えてたみたいだ。でも先輩に言われるとなんかちょっと腹立つな。
運ばれた料理に箸をつけながらこれからどうするかなぁと改めて頭の中を整理しながら考える。とりあえず今は都築さんには言わない。これ確定。
うん、と頷きながら言うと先輩はわたしのこの考えに反対みたいで絶対に言った方がいいと何度も言われた。そりゃあ将来のことを考えれば言った方がいいとは思うけどまだそういうこと考えられないし。
現実的に考えてみても余計な物欲はそんなにないから貯金もそれなりに多くあるし、現在の給料だって結構高い方だと思う。
仕事はギリギリまで続けられるし産休育休も充実しているから問題なし。ここまできたら妊娠のことはバレるけど、相手はこれから都築さんに会わずに工作すればいいし…
「イケる気がします」
「気がするだけよ。現実見なさいよ」