紳士的?その言葉、似合いません!



心なしか自分の顔色が悪くなった気がする。気がするだけならよかったけど先輩にも「あんた大丈夫?」と言われた。ははは、大丈夫じゃない。


聞きたいような聞きたくないような、聞かなきゃいけないような聞かない方がいいような…今のわたしの気持ちはそんな矛盾たっぷりの複雑なものである。


ふー、と一度息を吐き出して心を決める。



「あの、先輩」


「ん?」


「…前から先輩って都築さんに対して、その…評価が高いっていうか、おかしいというか…なんというか、逆らっても無駄みたいに言ってましたよね?」


「まぁその通りだから。私から言わせてみれば都築さんは紳士的に振る舞ってそう見えるように計算しまくったただの鬼畜だわ」


「鬼畜…」



さらりと言いましたけど先輩、それめっちゃ怖いです。鬼畜ってなんですか、今流行りの愛あるドSじゃダメなんですか。


更に悪くなるわたしの顔色なんてなんのその、先輩も真剣な表情でわたしを見つめる。



「いい?都築さんがイケメンなのは見た目だけ。それ以外なんてはっきり言ってめんどくさいわよ。性格悪いし、しかも一度気に入ったものに対しての執着が半端ない。女子の憧れたる紳士的な見た目に似合う振る舞いしてるから気づく人は少ないけど、その毒牙にかかった人間からしてみればあの人は鬼畜以外の言葉が出てこないわ」



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