紳士的?その言葉、似合いません!
「簡単に言えばそのまま拉致監禁。ついでに逃げないようにって先手を打たれちゃって私はそのまま悪魔に捕まったって話」
あ、悪魔って社長のことね、と言うがそんなのは話の筋からわかる。しかも社長の見た目からして悪魔って言い得て妙だ。我が社の社長も人並みはずれた麗しい容姿だし。さすが都築さんの親戚。
ってそんなことより、わたしよりも何倍も手強そうな先輩が手も足も出ずにされるがままに捕まったなんて…それを聞いて都築さんから逃げようなんて可能なのか。
しばらく熟考してみるが頭の中に浮かぶのは「無理」の一言。ついで鮮明すぎるほどに美麗な笑みを浮かべた都築さんに捕まる自分の姿が見えた。
「まぁあれだけ言っておいてなんだけどそんなに怯えなくてもいいんじゃないの?前にも言った通り案外あんたと都築さんってお似合いだと思うし」
「先輩が無駄に怖がらせたんじゃないですか…」
悪かったわね、と全くと言って悪びれていない顔で謝られても…
「だから早く諦めちゃいなさいよ。じゃないとそれこそ無駄な精神力使って疲れるわよ」
……それも実体験からのアドバイスなんだろうか。全くもってありがたくない。