紳士的?その言葉、似合いません!
思わず胡乱な目を向けるが通じていない。マジか。過去の自分こんな男のどこが良かったんだ。趣味を疑うぞ。あ、いや、今も十分疑うけど。
「責任取ってあいつと結婚はしたけどあいつ我が儘でさ。俺がちょっと外に出ようとするとすぐにどこ行くんだそばにいてってうるさいしさぁ」
正直鬱陶しいんだよね、とへらへら笑うこいつに顔をしかめただけのわたしを誰か褒めてほしい。
冷静に考えて初めての妊娠で不安になっている奥さんがあんたにそばにいてほしいと思うのは普通のことだと思うけど。
外に行くにしてもどこどこに行くってちゃんとした理由があれば納得するだろうし。それで許容できないってことは…
「それにヤリたいけどできないとか溜まって仕方ないし、それなら外で発散するしかねぇじゃん?」
「(だから奥さんがしつこいほどに聞くんだよ)」
最低なこいつは現在も最低なままらしい。つまりはわたしと付き合ってた頃と同じようにこいつは下半身が緩いということだ。
ここで勘違いしないでほしいのがわたしはそれを知らなかっただけで許容していたわけではない。知ってたら一発ぶちかましていた。もちろん男にとっての最大急所にである。
「てわけでちょっと付き合ってくれない?」
「…はあぁ?」
こいつ何言ってんの?と思ったわたしは決して悪くない。