紳士的?その言葉、似合いません!
正直いつもだったら軽く流して避けるけど万一の場合だってある。抱き潰されるのは絶対に避けたい。
「違いますからね?断じて違いますからねっ?!」
「えぇ、まぁ少し前から見てましたので理解してますよ。さっきのはただの八つ当たりです」
「………」
紛らわしい!!!
てか八つ当たりって何?!わたしのが八つ当たりというか正当な怒りをぶつけたいわ!!
ムッとするが静かな怒りを湛える都築さんの目にそこまで出てきそうになっていた言葉が潰される。
「ですが、凛華さんがいけないのですよ?いつもの貴女だったら殴るなり蹴るなりして逃げるでしょう?」
「うっ…」
「なのになんですか、あの抵抗の仕方は。あんなものは男からしてみれば子猫がじゃれているようなものですよ?」
現に今だって逃げられないでしょう?とひんやりした笑みとともに抱きしめられた腕に力が入れられた。
確かにこの腕の中から逃げるのは無理だろう。それはすでに嫌ってほど分からせられている。でもその前に逃げようとも思わないんだけど。
「私は私のものに手を出されることに対しては狭量なのですよ。というわけで貴方も、彼女には今後一切手を出さないでくださいね」
ニッコリと挑戦的な笑みを浮かべた都築さん。あ、元彼いたの忘れてた。