紳士的?その言葉、似合いません!
降ろされた先はベッドでとりあえず靴を脱ごうと足先に手を伸ばすがその前に都築さんにのしかかられて唇が塞がれていた。
いつの間にか馴染んでしまった温もりと匂いと肌の感触が条件反射のように体の力を奪っていく。
軽く息を弾ませて珍しいぐらい表情を浮かべていない都築さんを見つめる。恐らく今のわたしは困惑をめいいっぱいに顔に貼り付けているのだろう。
「……あぁ、全く腹立たしい」
「都築、さん、」
顔を歪めて吐き捨てるように言葉を綴ったこの人には困惑と驚きしか出てこない。いつも丁寧な口調を崩さないけどこんな風に言うこともあるんだ。
それが余計に都築さんの感情を表していてわたしから反抗するという選択肢を躊躇わせる。
「凛華さん、私が今どう思っているか…聡い貴女なら理解しているでしょう?」
薄っすらと色気をほのめかせながら笑みを浮かべる姿は壮絶なまでに艶めかしい。普段は紳士的な振る舞いでどこか禁欲的でもあるから尚更。
恐らくは会社の中のこの人のファン達が見たら涎必須だろう。失神しても納得する。それぐらいには目の毒だ。
男性にしては繊細な細い指がわたしの首をくすぐる。何気ない仕草なのにこちらの官能を引き出すような動きが腹立たしい。