紳士的？その言葉、似合いません！

こてん、と首を傾げて返事を待つのはわたしからの同意が欲しいからなのか。どうしよう、本当にどうしよう。



「えっと…違いま、」


「はい？」


「だ、だから違、」


「凛華さん？」


「………」



声が、聞いたことないぐらいに低かった。怖い。副音声に本当のこと言いましょうね？って脅しがあった気がする。


計画では都築さんにバレる前に他に誰か彼氏役を作ってごまかし逃げ切る予定だったのに…いや、バレたのわたしのせいなんだけど。あれは不可抗力でしょ。


そろそろと視線を逸らすがすぐに軌道修正されてガッツリ目を合わせられる。ひたすらまっすぐに確信を持った目で見られて嘘が言える人間がいるか。否である。



「で、でも、別にわたし、都築さんに責任とってもらうとか全く考えてませんでしたし…」


「…普通の男性ならまだしも私相手にそんなことを言うなんて、凛華さんはまだまだ私をわかってませんねぇ」



笑みは浮かべているものの呆れたようにそう言う都築さんに何を言えばいいのかわからなくてきゅっと唇を噛みしめる。


都築さんがわたしのことを好いてくれてるのはわかってる。けど…



「仕方、ないじゃないですか…っ」



だってわたしはわたしを信じられないんだもん。