紳士的?その言葉、似合いません!
「なんですでに記入してあるんですか?」
「準備はしておいて困ることはないでしょう?」
……それはあれですか、都築さんの中ではすでにわたしがこれに記入するのが決定していたってことですか。というかこれいつから用意してたんだ。
さぁどうぞ、とペンを持たされるが書くのはちょっと待ってほしい。わたしにゆっくり考える時間をください。無言の催促やめてくれ。
というかわたしが記入すれば提出できるようにしてあるとかどれだけだよ。そして社長と先輩の名前が証人のところにあるんですけど…先輩これの存在知ってて言わなかったな。
「私の両親にはすでに凛華さんのことは話していますし貴女の両親にもいずれ貴女をもらうと根回し済みなのでこれを出した後にでも挨拶に行きましょうか」
「いつの間に?!!」
わたし知らないんだけど!?あっ、そういえば元彼と別れたって言った後すぐに結婚の催促があったけどそれもすぐになくなっていたような…特に気にしてなかったけど犯人はお前か!!
「私にとって待つことは苦ではありませんが、貴女を私のものにすることができる手札があってそれをわざわざ有効に活用しない選択肢はありませんからねぇ」
唖然とするわたしに都築さんはニッコリと美麗な笑みを浮かべて。
「捕まえましたよ?」
逃がすつもりは毛頭ない、という笑顔の圧力にわたしはがっくりと肩を落とした。