紳士的?その言葉、似合いません!
そんなこんなで特にこれと言った障害もなくわたしは都築さんと同棲?している。会社でも元々婚約者だって言われていたから問題なかった。
都築さん、これ布石ですか。狙ってましたか、狙ってましたよね。胡乱な目で問いかけたら笑顔が返ってきたのでそうだと勝手に解釈することにした。腹黒策士め。
ううう、と嘆いているとぽふん、と頭の上でふにふにと柔らかいものが乗った感触がして。顔を上げると男の子がこてん、と首を傾げた。
「りんちゃんの、いたいいたいのとんでけー」
「~~~っかわいい!!」
ぐはっ、とその純粋無垢な瞳にわたしの胸に金の矢が刺さった。もう何この子、「いたいいたいのとんでけー」ってかわいすぎか!!
なでなでしてくれる哉瑪(かなめ)くんを膝に乗せて抱きしめる。どうしたのかって?君の愛らしさに悶えているんだよ…!
「お願いだから、君は両親に似ずに健やかに育ってくれ…!!」
「あんた、私と社長に喧嘩売ってんの?」
冷めた目でわたしを見る先輩。そう、なにを隠そうこの愛らしさ満点の男の子が先輩とわが社を率いる氷の社長の子どもらしい。よくよく見れば、ってまぁ見なくても哉瑪くんと社長はそっくりである。
ただわたしは社長とそんなに関わりがないから中身的なことは詳しく言えない。見た目だけなら哉瑪くんは社長を小さくして愛らしさと子どもらしさをプラスしてついで冷たい雰囲気をなくした感じだろうか。先輩要素はあんまり感じられないなぁ。