紳士的?その言葉、似合いません!
ソファーに座ると隣に都築さんも座り「どうぞ、」とハーブティーを渡される。お礼を言って口をつければ甘くて爽やかな香りが鼻をくすぐった。
「あぁ、そういえば母から聞きましたが結婚式はしないのですか?」
「……だってもう都築さんとは籍は入れたし、」
わたしは現在妊娠中だしそういうことは控えた方がいいと思う。今は目立ってないとはいえこれからお腹も大きくなるし、結婚式を挙げるとなると時間もかかって面倒だ。
普通の女子らしく結婚式に夢がない…わけでもない。昔も今も結婚式はしてみたいなぁとは思う。ただ自分の子どもと比べたら必要性を感じないというだけで。
あぁでも実家からはいろいろ言われたなぁ。最終的には子どもを引き合いにして黙らせたけど。あれならドレスを着て写真だけでも撮ってもらおうかな。それなら時間もたいしてかからないだろうし。
「ふふ、まぁ結婚式はおいおいでも大丈夫でしょうね。それよりも私のことはいつまで『都築さん』なのでしょうかねぇ」
「うぐっ……」
勝手な被害妄想かもしれないけど言葉に棘があった。そして自覚しているだけにストレートに胸に刺さった。
「子どもが生まれたときもそんなのだと不仲だと思われてしまいますよ?私の名前を知らないわけではないでしょう?湊ですよ、湊」
さぁ呼んで下さい、とばかりにニッコリされるがわたしは思わず口を噤んでしまう。
だだだだってっ!なんか今更って気がするんだもん!!ずっと苗字で呼んでたんだし!!そりゃ都築さんの言うことは一理あるどころか正論だけど…!