紳士的?その言葉、似合いません!
おまけの話

◆愛していますよ、心から




この人が欲しいと、自分の腕の中で酷く甘やかしてぐずぐずにして、自分だけをその瞳に映すようにしたいと。こんな感情を抱くことになるとは過去の自分は想像だにしなかった。






「湊?」



どうしたの、と不思議そうにする妻に微笑みなんでもないと言うと不服そうな顔をしながらも素っ気なく「そ、」と顔を背ける。


子どものように心配しているのに素直にそう言えない彼女が可愛いくて仕方ない。そう言うとまた照れて意地っ張りなことを言うんですけどねぇ、そういうところも愛らしい。


誰よりも大人になるのが上手で、誰よりも子どものような心の持ち主。彼女を一言で表すならこの言葉が一番しっくりする。


見た目はどちらかと言えば大人っぽいだろう。ダークブラウンの落ち着いた髪色や大人の対応をするからそう見えるのかもしれない。顔立ちも可愛いらしいというよりも美人系ですし。


あ、でも彼女の猫目が泣きそうになるときに下がるのは可愛いです。生まれたての親から引き離された迷子の子猫みたいで。みぃみぃ鳴く姿、庇護欲と嗜虐心唆られるんですよねぇ。


他と比べて突出した容姿でもなければ万人受けする性格でもないのに、私が何年も片思いをするとは…未だに親やら社長やらに何かしら言われたりする。


そういえば彼女には初めから悪い印象は持っていなかったなぁとぼんやり思い出した。



< 79 / 94 >

この作品をシェア

pagetop