紳士的?その言葉、似合いません!
斉木さんとはこれでも結構長い付き合いだったりする。特に女性ともなると私も鷹斗もそれなりにモテる容姿をしているのでそれに目がくらまない女性は貴重だ。
ただしそれが原因で鷹斗に目をつけられたのだからおめでとうというべきかご愁傷様というべきか…彼女の態度を見ていたら後者のような気がする。
「別に都築さんが謝ることでもないわ。あの悪魔が勝手にしたことだし」
「社長を悪魔とは、言い得て妙ですねぇ」
確かに見た目も伝承の悪魔のように美しいしあの傲慢さをそう言っても違和感がない。鷹斗に言ってみたらどう思うだろうか。
話を聞いてすぐに来てみたが思ったよりも斉木さんが怒っていないようでよかったと思う。なんだかんだでこの2人はちゃんと両想いということなんでしょうねぇ。
「先輩、」
とりあえず彼女に対する自分のすべきフォローは終わった、と考えていれば後ろから声が聞こえた。聞き覚えがないので恐らくは私ではなく斉木さん関係だろうと一歩下がる。
「お話し中すみません」
「あぁ、大丈夫よ。何かあった?」
「はい、これなんですが…」
そのまま話し始めた2人に立ち去るべきかとも思ったが初めて見るその人に足が止まる。必要最低限関わる人の顔と名前は覚えているはずなのだが。