紳士的?その言葉、似合いません!
彼女の名前は長谷川 凛華さんというらしい。戻って早速調べた。あの日から仕事の話や少しの雑談などするようになったが、まさに名は体を表すといった感じで凛とした花のような人だった。
さすがにプライベートにまでお互い干渉せず、仕事の延長での関わり合いだったがある日を境に私への彼女…凛華さんへの気持ちは変化した。
その日はしとしとと1日中雨が降っていて心なしか気持ちが落ちていた。なんだかんだと言われるが私だって人なのでこういう気分になるときもある。
「なぁ、湊。どうやったらあいつを家に閉じ込められると思う?」
「……また斉木さん絡みですか」
最近の鷹斗の頭の中は斉木さんばかりだな。本人は思う存分惚気られていいかもしれないが聞いているこちらが鬱陶しい。気分が落ちている理由はここにあったりもする。
確かに鷹斗にとって斉木さんという愛する人が現れたのはいい傾向だと思った。が、さすがにここまで恋愛脳になられるとこちらが苛つくので辞めてほしい。
唯一の救いとしてはどれだけ頭の中が恋愛で染まっていても仕事にはそれを持ち出さないところだろうか。これで仕事がままならなくなっていたらさすがにキレていたかもしれない。
「あいつ、子ども産んでも仕事辞めないって言うんだけど」
「貴方が諦めなさい」
斉木さんは仕事の面でも鷹斗の力になっているし、やりがいを感じている彼女だ。仕事を辞める気などさらさらないだろう。そして私もこれ以上仕事の負担を負いたくない。