紳士的?その言葉、似合いません!
「鷹斗、貴方秘書課にいる長谷川さんを知っていますか?」
「長谷川…?新しく入ってきたあいつと仲良いやつか?」
不思議そうな顔で首を傾げる鷹斗にふむ、と1人心の中で納得する。
他人には残酷なまでに無関心を貫き通す鷹斗が覚えているなら予想していた以上に斉木さんと彼女は仲が良いと考えられる。これは好都合。
「どうした、湊」
「どうした、とは?」
微笑み小首を傾げれば怯えたように肩を揺らすのだから失礼極まりない。私の何が怖いんでしょうねぇ。これでも貴公子みたいだと言われる容姿なのですが。
無言のままに笑みを浮かべて鷹斗を見続けていれば観念したように口を開く。
「俺も大概だが、絶対にお前だけは敵に回したくねぇ…」
「おや、いきなりですねぇ」
「そんな顔するお前が悪い」
「そんな顔、ですか」
自覚はそれなりにしているものの他者から見てどんなものかと聞けば苦いものを食べたような顔で。
「獲物を見つけてこれからどうやって捕まえていたぶって食ってやろうかと考えている顔」
「……さすがに失礼ですよ?」
「じゃあ滲み出る腹黒さが隠しきれていない顔だとでも言ってやろうか」