向日葵にさよなら。
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倉本が再びうちにやってきたのは、それから一週間後のことだった。
「松波くん、おはよう。夏休みの宿題は進んでる?」
「まあ、バイト以外やることないから」
「そうなんだ、こつこつ進めていて偉いね! 私なんて学級委員なのに、まだ手もつけていないの」
僕が倉本となんでもない会話をしているなんて、クラス中の誰もが想像もしていないだろう。
何より自分自身が一番驚いている。まあ、彼女は花を買いにきただけであって、そこにたまたま僕がいただけなんだけど。
それよりも、今週もまた花を買いにくるってことは、お見舞い相手は長期入院の予定なのだろうか。その人との関係も気になるけれど、デリケートかつプライベートなことなので聞いてはいけない。
「それで、今日もお見舞い用に買いにきたの?」
「そうなの。あ、先週買った向日葵のアレンジメント、とっても喜ばれたよ。どうもありがとう」