向日葵にさよなら。
「気にしないで。こんなに花に囲まれていたら全然退屈しないから」
僕は手早くラッピングを済ませ、透明の袋にいれて彼女に手渡した。
それにしても、どうして今日も店番が僕だけなのだろう。一人のときの方が珍しいのにな。
でもまぁ、もしここに母さんがいたら、彼女に余計なことを言うかもしれないからいなくてよかったかも。
「お待たせしました」
「どうもありがとう! きっとまた喜んでくれると思う」
お会計をすませて商品を手渡した彼女は相変わらずの笑顔で、それにどうしても引っ掛かってしまって――口に出さずにはいられなかった。
「あの……」
「ん? どうしたの?」
「どうして笑っているの?」
「え?」
「うちにくるお客さんは、みんなお見舞い用に買っていくから……どこか悲しそうな顔をしていることが多いんだけど、その、倉本はいつもと変わらないから」