向日葵にさよなら。
僕は、言いたいことを全て話すまで彼女の顔を見ていなかった。商品を手渡して、お釣りをレジにしまいながら話していたから、全然気づかなかったんだ。
彼女が、ショックを受けたような顔をしているということに。
「あっ、ごめん、変なことをいって。ただ、その……」
「ううん、いいの。私、どんなときでも笑顔でいるっていうのがクセになっちゃって。確かにそうだよね、おかしいと思う」
なにかが粉々になって壊れてしまった、そんな瞳をしていたのに、倉本はまたすぐに笑顔を作っていた。
「私、もういかなくちゃ。ラッピングありがとう。じゃあ、またね」
彼女はまるで逃げるようにして、店を出ていった。
その様子をみて、僕は触れてはいけないことを触れてしまったということに気づいた。