向日葵にさよなら。

 よく考えれば、どうして「笑っているの」なんて質問をしてしまったのだろう。いままでろくに話したこともなかったくせに、何で踏み込もうとしたのだろう。

 倉本が話しやすくて、笑いかけてくれるから、許されるような気がしたのだろうか。
 僕はお客さんである彼女に対して「ありがとうございました」と言えずに、ただ呆然と外の景色を眺めていた。

 倉本のお見舞い先が来週も入院していたとしても、きっとうちにはこないだろう。
 枯れない花を買ったからではなく、僕に会いたくないだろうから。


――そう思っていたからこそ、彼女の本日二日目の来訪には腰が抜けるほどに驚いたんだ。


「工(こう)、ちょっと出てきてー」

 店の手伝いを終え二階で休憩していたとき、母さんから声をかけられた。

 もう夕方で、ほとんどお客さんはやってこないはずなのだけれど、どうしたのだろう。何個も花束やアレンジメントを注文されたのだろうか。


「どうしたの? 急ぎの仕事? って、倉本……?」

「こんにちは。また来ちゃった。もうお手伝いは終わり?」


 
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