向日葵にさよなら。
「いってらっしゃい。工も意外とスミにおけないのねぇ」
母さんの冷やかすような態度を見て、あらためて接客のときは僕ひとりでよかったと思った。
「この前ね、いつもと違う道を歩いていたら公園を見つけたの。小さいけど、人が少なくて落ち着きそうだなって思って」
「そうだね、ブランコと砂場くらいしかないけど……それでも子供の時は、楽しい場所だなって思ってた」
倉本と僕は、店の近くにある小さな公園に来ていた。ところどころペンキがはがれたベンチに座り、誰もいない砂場を眺める。
「甘いのとさっぱりしたのとどっちがいい?」
「……倉本が先に選んで」
「じゃあ、甘いのにするね」
彼女は袋からカップアイスを取り出して僕にくれた。オレンジ味のシャーベットは、夏バテした体に染みそうだ。