向日葵にさよなら。
「……でも、さすがにお母さんが倒れたのに笑っているのはおかしいって気づいたの。私、お母さんのお見舞いに行く時まで仮面を被っていたんだなーって」
「ごめん、僕の発言のせいでそこまで考えさせてしまって。お母さんに心配かけないように笑顔でいるって、すごく素晴らしいことだと思うよ」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな。でもね、なんていうか、自分でも知らないうちに“もう一人の私”を作りあげていたんだって思ったんだ。このままだと、本当に悲しいときも笑っていそうな気がして……急に怖くなった」
なんとなくだけど、彼女は感受性が豊かで、繊細なんじゃないかと思った。
僕なんかの言葉でここまで深く考えなくてもいいのに。いろんな人に異なる意見を同時に言われたら、一体どうなってしまうのだろう。
――もしかして、心がパンクしないように、笑顔という壁を作って守っていたというのか。