向日葵にさよなら。
「……Aランクの人も、悩んだりするんだなあ」
「Aランクって、何?」
「あ、いや……」
倉本が心を開いて話をしてくれたからか、アイスをもらってうれしかったからか、はたまた夜風にあたって気分
がよくなっていたからか、僕はとんでもないことを口走ってしまった。
クラスの人間をランク付けしているなんて知られたら、間違いなく軽蔑されるだろう。どうにかして彼女の聞き間違いだと思わせられないだろうか。
「いま、私のことをAランクって言ったわよね? そのランクって、どうやって決まっているの?」
……どうやら、もう言い逃れはできなさそうだ。僕は心を決めて、ランクについて説明しようとした。
「えっと、それは……僕のなかで勝手につけているもので。決して誰かを馬鹿にしているわけではないから、怒らないでほしいんだけど」
「大丈夫だよ、多分。誰にも言わないから話してみて?」
“多分”という言葉に若干の恐怖を感じつつ、クラスの人気者はAランク、地味で目立たない人はCランク、その中間はBランクと考えていることを話した。