向日葵にさよなら。

「まぁ、そりゃそれなりに知っているけど……モテないから使いどころがないよ」

「ふふ、そうなの?」

「そうだよ」


 小さな公園だから、街灯は端っこに一つしかない。だから彼女の顔があまりよく見えなかったけれど、自然な笑顔を向けてくれていたような気がする。

 気のせいかもしれないけれど、素の倉本を垣間見られたような気がしてうれしかった。


「……夜も遅くなってきたし、そろそろ帰ったほうがいいかも。ここにはどうやって来たの?」

「ほんとだ、もう真っ暗だね。ここへは電車で来たよ。家方面は本数が少ないからすごく不便なの」

「そっか。……よかったら、駅まで送るよ」

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えようかな」

 駅まで送るなんて、こんなイケメンな台詞を口にする日がくるなんて思わなかった。
 彼女がうちに花を買いにきてから、こんなことばっかりだ。これからも、倉本と話す機会が増えていくにつれ、また新しい何かが起こるのかもしれない。

 学校で普通に話せるとは思わないけど、せめて夏休みの間は、また倉本と一緒の時間が過ごせると期待していいのだろうか。

 そんなことを考えながら、倉本の隣を歩いていた。

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