向日葵にさよなら。
倉本は元気にしているだろうか。
倉本のお母さんは、元気になっているだろうか。
こうやって心配になっても、僕は彼女の携帯番号を知らない。こんなことなら、勇気をだしてあのとき交換しておけばよかった。
「どうしよう……」
「どうしようって、何が?」
「気になることがあるんだけど、確かめる方法がないんだよね」
「本当になにもないのかしら。頭から抜け落ちているだけかもよ」
「そういうもの、なのかな」
「何か思いついたらすぐに行動していいわよ。今日はもうお客さんも来なそうだし」
気がつけばもう夕暮れ時で、確かにお見舞いのピークは過ぎている。たしか、前に倉本が来てくれたのもこのくらいの時間だったな。