向日葵にさよなら。
――どうして、彼女は笑っているのだろう。
うちにくるお客さんのほとんどはお見舞いのためにやってくる。接客をしているときは笑って話してくれるけれど、そのほとんどが作り笑いだろう。
お見舞い相手の病状を心配している気持ちが表情の裏からかいまみえて、いつも切なくなる。
でも、倉本にはそれを感じられなかった。教室にいる時と同じように明るかった。
今から誰かのお見舞いにいくのに、どうして普通に振る舞えるのだろう。
もしかしたら、僕がいた手前、わざと元気に振る舞っていたのかもしれないけれど、彼女の笑顔がどうしても気になって、頭から離れなかった。