・キミ以外欲しくない
「サイズ? いくら副社長でも、身体のサイズを聞くなんて失礼です!」と身をよじり、両手で身体を隠す仕草をした私を見た副社長は、右手を挙げ「違う違う」と否定した。
「洋服のサイズだよ。見たところ、九……じゃ大きいか。七号くらい?」
「ふ……く?」
「食事に連れて行こうと思ったんだが。どうせなら君がいつも行かない様な場所のがいいかと思って」
「さすがにドレスは持っていないだろ?」と携帯電話を片手に、どこかに電話をかけ始めた副社長に「で? 七号でいいの?」と確認され、大きく首を振ると「どっちだよ、七? 九?」と急かされた私は、勢いに負け「き、九ですっ」と声が裏返りながら答えた。
ほどなく部屋のチャイムが鳴り、玄関へ向かった副社長が戻って来た。
その手には、綺麗なブルーのワンピースがかけられたハンガーを持っている。
「部屋で着替えて来い。アクセサリーは適当に持っている物をつけてくればいい」
「綺麗……」
手渡されたワンピースは、一体どこから届けられたのだろう。
なんて疑問は、値札のつけられたままのタグですぐに判明した。
ハイブランドのタグ、値札には信じられない数の数字の羅列。
見ただけで気絶しそうな私は、よろけながらも部屋からリビングで待っている副社長に声をかけた。