・キミ以外欲しくない
「もしかして、以前お前が結婚を考えていると話していたお相手の方か?」と確認して来た社長に対し「えぇ、そうです」と、何の躊躇いもなく答えた副社長だった。
「な、雪乃」
社長の前で、副社長は私を見つめながら当然のように名前を呼んだりしたので。
目の前で繰り広げられている状況が飲み込めない。
すぐに返事が出来ず、うろたえるように「あの、副社ちょ……」と言いかけてしまった私は、テーブルの下で履いていたパンプスを蹴られた。
「イタッ」
「彼女は今、俺の直下で働いているんだ。それもあって外での呼び名を使い分けることに慣れていなくてね。今もその話をしていたところなんだよ、な!」
強い視線を私に向け「ここは合わせろ」とでも言いたげな副社長に、私は否定することも忘れ「はい、ごめんなさい。し、真司郎さん」と答えてしまう。
そんな私の様子を見ていた社長は疑うことも無く「そうでしたか。デートの邪魔をして申し訳ありませんでしたね。ごゆっくり」と笑い去って行った。
「ちょっと、どういうことですか」
社長がみえなくなるや否や、副社長に詰め寄るように尋ねると。
向かい合っていた副社長はテーブルに片肘をつき、手を額に当て困った様子で項垂れていた。
「な、雪乃」
社長の前で、副社長は私を見つめながら当然のように名前を呼んだりしたので。
目の前で繰り広げられている状況が飲み込めない。
すぐに返事が出来ず、うろたえるように「あの、副社ちょ……」と言いかけてしまった私は、テーブルの下で履いていたパンプスを蹴られた。
「イタッ」
「彼女は今、俺の直下で働いているんだ。それもあって外での呼び名を使い分けることに慣れていなくてね。今もその話をしていたところなんだよ、な!」
強い視線を私に向け「ここは合わせろ」とでも言いたげな副社長に、私は否定することも忘れ「はい、ごめんなさい。し、真司郎さん」と答えてしまう。
そんな私の様子を見ていた社長は疑うことも無く「そうでしたか。デートの邪魔をして申し訳ありませんでしたね。ごゆっくり」と笑い去って行った。
「ちょっと、どういうことですか」
社長がみえなくなるや否や、副社長に詰め寄るように尋ねると。
向かい合っていた副社長はテーブルに片肘をつき、手を額に当て困った様子で項垂れていた。