飛蝗者
「おまえ、ラップ好きなのか」

14か15の時、リビングでぼんやりとしていた際、父からそう声をかけられた。

当時、父は書斎にこもりきりで滅多に1階へは降りてこなかったし、母は仕事が忙しくて家に帰らないことが多かった。
なので私は広いリビングを我もの顔で独占し、テーブルの上に置いたパソコンで好きな曲を流しながら、ソファで宿題をしたり、携帯を触ったり、帰りに買ってきた漫画を読んだりしていた。

その日はたまたま、学校で借りたヒルクライムのCDを流していた。
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